ルナ動物病院とは

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体表にできた腫瘍

どんなに小さなおできでも、要注意です!!

見た目で判断できるものは限られています。必要なのは院内でできる細胞診断、そして病理学検査です。こうした検査を踏んで、はじめて悪性・良性の診断が下されます。そして、できた腫瘍の種類によって選択される処置も異なり、予後も違ってくるのです。

基底細胞腫

診断には病理検査が必要な良性の腫瘍です

基底細胞腫

8才のG.レトリバーの耳の下に2cmのできものができています。
院内の細胞診では確定診断はできませんでした。飼主様と相談し、外科切除し病理検査にだしました。結果は基底細胞腫という良性の腫瘍でした。
このように悪性・良性を診断するために、病理検査しなければわからない腫瘍もあります。この症例では完全切除し病理検査をしましたが、一部だけ組織を採取し検査をする場合もあります。

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組織球腫

見た目は悪そうでも、細胞診でわかる良性腫瘍です

組織球腫

3才の雑種のワンちゃんの鼻先のできものです。院内での細胞診断で組織球腫が疑われました。この症例では、飼主様のご希望で病理検査をいたしましたが、やはり組織球腫という結果でした。これは良性の腫瘍です。

組織球腫

組織球腫は何も治療をしなくても、3ヶ月以内に消滅します。細胞診をしなければ、こうした腫瘍と知らず手術をする可能性もあります。しかし同じような細胞が観察されても、悪性の場合もあるため注意が必要です。

組織球腫

組織球腫は通常3歳未満の犬で、頭部や四肢端に1~2cmの赤いドーム状の不気味なおできが、突然できます。まるで悪者のようです。しかし、良性なので経過観察です。このワンちゃんは足先にできました。

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悪性メラノーマ(悪性黒色腫)

俗にホクロが悪性になったと呼ばれる腫瘍です

悪性メラノーマ(悪性黒色腫)

5才の雑種のワンちゃんです。2ヶ月前に発見した胸のほくろが、最近急に大きくなり、化膿し悪臭がすることで来院しました。細胞診でメラニン色素(黒い顆粒)を含む細胞が観察され、悪性の可能性があることを説明後、切除手術を行いました。病理検査の結果は悪性メラノーマでした。

悪性メラノーマ(悪性黒色腫)

飼主様のご希望で、切除手術のみの治療でしたが、半年後に死亡したそうです。悪性メラノーマは転移を起こしやすく、一分一秒でも早い手術が望まれる腫瘍です。ほくろを発見した時に来院していただければ、予後が違ったものになったかもしれません。

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悪性リンパ腫

リンパ腫は悪性腫瘍で内臓も含めどこにでもできます

悪性リンパ腫

10歳のシーズーが、肘に4cmの腫瘍があり自壊・出血、全身的に1cm程度の結節が多数できています。他院で悪性腫瘍の疑いだと診断されましたが、インフォームドコンセントがされず、不安を募らせての転院です。癌との戦いで最も重要なのは患者様の納得とご理解、病院への信頼です。先ず患者様と十分に話し合いを致しました。

悪性リンパ腫

局所麻酔でのバイオプシーを実施し、悪性リンパ腫と病理学的に診断されました。リンパ腫は、癌のなかで唯一抗がん剤がよく効き、闘うことができる癌です。患者様には再度、患者様が納得いくまで治療方針を説明し、コンビネーションによる抗がん剤治療を開始しました。
3週間後には体中にできていた腫瘍はわからない程度になりました。

悪性リンパ腫

リンパ腫の中でも皮膚型は抗がん剤の効きにくい腫瘍です。投薬開始時は劇的に効果を挙げていた抗がん剤も、約2ヵ月後には効果が薄れ前肢にこのような腫瘍ができました。再燃(癌が再発すること)です。こうした再燃を何度も繰り返し、その度に抗がん剤を違う種類のものに変えましたが、徐々に抗がん剤が効かなくなっていきました。

悪性リンパ腫

癌は口腔粘膜にもでき、抗がん剤を単独やコンビネーションで合計10種類も使用しましたが、治療開始8ヶ月後は、どの抗がん剤も効かなくなりました。皮膚病変のみの場合、末期は皮膚がボロボロになり悲惨な状態です。しかし、このワンちゃんは、死を迎える1週間前まで食事を摂り、人の時間で4年間、比較的元気に過ごすことができました。

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肥満細胞腫

悪者です

細胞診で診断が可能な、かなり悪性度の高い腫瘍です。悪性メラノーマ同様に、転移・再発するため一秒でも早い手術が望まれます。手術は、できものを含めたかなり大きな範囲の切除が必要で、足先のほんの小さなおできでも断脚しなければならないケースもあります。放射線治療も効果があります。抗がん剤治療も補助的に使用されます。腫瘍がどの程度悪いかという組織学的グレードが、予後に大きく関与します。

肥満細胞腫

肥満細胞腫は怖い癌です。悪性腫瘍の中でも性質が悪く、悪性度が高ければ高いほどあっという間に命を奪われてしまうのです。しかし皮膚に出来るのが一般的で、臨床医が院内で細胞診断できるため早期発見・早期治療が可能な病気です。日頃から動物の体を触り異常があればすぐにかかりつけ医に調べてもらうのがいいでしょう。

肥満細胞腫

このワンちゃんは10歳のG.レトリバーです。飼い主様は半年前から太ももにしこりがあることに気がついていました。採血するような手技で、すぐにできる細胞診断をすぐに行ない肥満細胞が観察されました。臨床医も気が引き締まります。指先にできただけで、断脚しなければいけないことがあるほどの腫瘍なのです。

肥満細胞腫

ツルーカットを手術前に行い、病理診断の結果で手術範囲を決めることがあります。このワンちゃんも病理診断でグレード1を確認しました。手術による根治を見込める悪性度です。しかし、10cmと大きなサイズなため、ビンブラスチン(抗がん剤)やプレドニゾロンので先制攻撃サイズ縮小を行い、半減したところで手術しました。

肥満細胞腫

手術範囲はできるだけ大きくとることが重要です。4cmの腫瘍サイズならば少なくとも10cm以上もの広範囲の切除が必要です。皮膚は当然足りなくなるので、今回はメッシュ加工した皮膚でよせました。肥満細胞腫は外科が第一選択となりますが抗がん剤、放射線、グリベックなどの新薬も効果があり戦えない癌ではないのです。

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扁平上皮癌

悪者です

細胞診である程度診断可能な、悪性度の高い腫瘍です。外科切除が選択されますが、放射線治療、抗がん剤治療も実施されます。できた部位によって予後がかなり異なってきます。

扁平上皮癌

11歳の黒色のR.レトリバーの後肢指先にできものができました。初期症状は爪周囲炎のようなただれが診られ、犬は気にしてしきりと舐めています。抗生物質による抗炎症治療を行なってもただれは悪化し、わずか2週間で腫瘤を形成しました。爪は抜け落ちてしまいました。

扁平上皮癌

腫瘍を疑い細胞診を行なうと、感染による炎症細胞はなく、このような角化細胞が多数観察できました。爪下扁平上皮癌の典型例です。大型で黒色の犬には、この特異的な腫瘍に素因があるといわれます。黒い犬で、治療しても悪化する指先の炎症は要注意です。

扁平上皮癌

足先と胸部のレントゲンを撮影し胸部への転移がないことを確認し、外科手術で指の根元から切断しました。病理検査でも扁平上皮癌と診断されました。爪下扁平上皮癌は比較的転移し難いようですが、今後も再発や遠隔転移には注意し続けなくてはいけません。